韓国の総合エンターテインメント企業HYBEは、2024年の年間売上高が2兆2545億ウォン(約2357億円)に達し、2年連続で2兆ウォンを突破したことを発表しました。
しかし、営業利益は前年より37.5%減少し、純損益も赤字に転落しました。この要因として、BTSのグループ活動休止や、新人グループデビューによる売上構成の変化、米国やラテンアメリカでの投資負担が挙げられます。
一方で、公演収益は前年比25.6%増加し、グッズ販売も好調でした。2025年にはBTSメンバーの復帰と新たなグローバル戦略により、収益性の向上が期待されています。
- HYBEの2024年の売上が2兆2545億ウォンで過去最高を記録したこと
- 営業利益が37.5%減少し、BTSの活動休止や投資コスト増加が影響した背景
- 2025年にBTSが復帰し、グローバル戦略の強化で売上回復が期待される展望
HYBEの2024年売上は過去最高、2兆2545億ウォンを記録
韓国の総合エンターテインメント企業HYBEは、2024年の年間売上高が2兆2545億ウォン(約2357億円)に達し、前年より3.5%増加したことを発表しました。
これにより、2023年に続き2年連続で2兆ウォン超えを達成し、創業以来の過去最高売上を記録しました。
HYBEはBTSのグループ活動休止中にもかかわらず、この成長を達成した要因としてコンサート収益の増加とグッズ・ライセンス販売の好調を挙げています。
売上成長の要因:コンサートとグッズ販売が牽引
HYBEの2024年の売上構成を見ると、アーティストが直接関与する収益は1兆4453億ウォンで、前年より1.8%減少しました。
一方で、アーティストが間接的に関与する収益は14.5%増の8093億ウォンとなり、全体の売上成長を牽引しました。
特にコンサート収益は前年比25.6%増加し、HYBE史上最高額を記録しました。
また、MD(マーチャンダイジング)やライセンス収益も29.1%増の4200億ウォンとなり、ファンのオフライン消費が強まったことを反映しています。
SEVENTEEN、TXT、ENHYPENの活躍が売上を支える
2024年のHYBEの売上を支えたのは、BTS以外のグループの活躍でした。
SEVENTEENは、2023年に続き、2024年も年間アルバム販売1000万枚を達成し、韓国の主要音楽チャート「サークルチャート」でのシェアを40%に押し上げました。
TOMORROW X TOGETHER(TXT)も、年間サークルチャートのトップ10に2作品がランクインし、日本のオリコン年間ランキングにも3作品がトップ30入りするなど、国内外での人気を示しました。
ENHYPENは、累計アルバム販売枚数545万枚を記録し、アメリカの年間アルバムチャートで8位、日本の年間アルバムランキングで9位にランクインしました。
また、NewJeansは300万枚以上のアルバムを販売し、K-POP女性アーティストで販売枚数シェア1位を獲得しました。
営業利益は大幅減少、赤字転落の背景とは?
2024年のHYBEは過去最高の売上を達成したものの、営業利益は前年比37.5%減の1848億ウォンにとどまりました。
さらに、純損益は3.4億ウォンの赤字となり、前年の1834億ウォンの黒字から大きく落ち込む結果となりました。
この業績悪化の背景には、BTSのグループ活動休止や、新たな投資によるコスト増が影響しています。
BTSのグループ活動休止による影響
HYBEはこれまでBTSの収益に大きく依存していましたが、メンバーが兵役により活動を休止したことで、BTSの売上シェアは20%以下に減少したと推定されています。
2023年までは、BTS関連の収益が会社全体の約95%を占めていたとされます。
メンバーがソロ活動を行ったものの、グループコンサートがなかったことで、アルバム・音源部門の売上は前年比11.3%減となりました。
一方で、BTSメンバーの一部はすでに除隊しており、2025年にはグループ活動が本格再開する見込みです。
新人グループデビューと投資負担が利益を圧迫
HYBEは2024年、新たな成長戦略の一環として、新人グループのデビューや海外市場への進出を積極的に進めました。
特に、アメリカ発のガールズグループ「KATSEYE」のデビューに向けた投資や、HYBE LATIN AMERICAの設立によるインフラ・人材コストの増加が大きな負担となりました。
また、HYBEはWeverseの強化やゲーム事業への投資も進めており、これらの初期費用が利益率を押し下げる要因となりました。
さらに、アーティストの増加に伴い、収益配分の変化も影響しました。BTS以外のグループが成長することで、アーティストへの支払いコストが増加したのです。
公演部門が大幅成長、2024年のK-POPツアー収益ランキング
2024年のHYBEの業績を支えたのは、コンサート部門の大幅成長でした。
HYBEアーティストによる公演売上は前年比25.6%増加し、創業以来最高額を記録しました。
特に、2024年10~12月期の公演売上は1889億ウォンに達し、前年同期の2倍以上となる驚異的な成長を見せました。
SEVENTEEN、ENHYPEN、TXTがトップ3を独占
2024年のHYBEのコンサート事業を牽引したのは、BTSに次ぐSEVENTEEN、ENHYPEN、TOMORROW X TOGETHER(TXT)の3組でした。
米ビルボードが発表した「2024年K-POPツアー興行収入ランキング」では、この3グループがトップ3を独占しました。
それぞれのワールドツアーが大成功を収め、チケット販売だけでなく、公式グッズの売上も大幅に増加しました。
特に、SEVENTEENは「FOLLOW」ツアーで世界各国を回り、韓国・東京ドーム・米国などの主要都市で数十万人規模の観客を動員しました。
第4四半期のコンサート売上は前年比2倍に
HYBEのコンサート収益は年間を通して成長しましたが、特に2024年10~12月期の売上は前年比2倍以上に伸びました。
この背景には、ファンミーティングや追加公演の増加、さらにはオフラインイベントの復活があります。
また、NewJeans、LE SSERAFIM、BOYNEXTDOORなどの比較的新しいグループも、各国でのファンイベントを活発に開催し、HYBE全体の公演売上に大きく貢献しました。
今後、BTSの復帰による大規模ワールドツアーが予定されており、2025年はさらに大きな売上成長が見込まれています。
2025年の展望:BTSの復帰とグローバル戦略の強化
HYBEは2024年に過去最高の売上を記録しましたが、営業利益の低迷や純損失の発生などの課題も浮き彫りになりました。
しかし、2025年はBTSの復帰をはじめ、グローバル戦略の強化によって収益性の改善が期待されています。
特に、HYBEはアメリカ、日本、ラテンアメリカなどの市場で新しいグループのデビューを計画しており、「マルチホーム・マルチジャンル」戦略を本格的に推進する方針です。
BTSメンバーの兵役終了で売上回復を見込む
BTSのメンバーは現在、兵役中のメンバーが多いものの、2025年6月までに全員が除隊する予定です。
これにより、BTSのグループ活動が再開され、アルバム販売・音源収益・ワールドツアーの再開によって大幅な売上回復が期待されます。
HYBEはBTSのカムバックに向けて、ワールドツアーや特別イベントを準備しており、2025年の売上の柱となることが見込まれています。
アメリカ、日本、ラテンアメリカで新グループデビュー
HYBEは2025年、新たな市場開拓の一環として、アメリカ、日本、ラテンアメリカで新しいグループのデビューを予定しています。
特に、アメリカでは「KATSEYE」の正式デビューが控えており、現地の音楽市場への本格参入を目指しています。
また、日本では「&TEAM」に続く新しいJ-POPグループを発表予定で、日本市場のさらなる拡大を狙っています。
さらに、ラテンアメリカ市場ではHYBE LATIN AMERICAを通じて、地域文化とK-POPの融合を図る新プロジェクトを準備中です。
まとめ:HYBEの2024年業績と今後の成長戦略
HYBEは2024年、2年連続で売上2兆ウォンを突破し、過去最高の売上を記録しました。
しかし、BTSのグループ活動休止や投資コストの増加により、営業利益は37.5%減少し、純損益は赤字に転落しました。
一方で、コンサート・グッズ売上の大幅成長が業績を下支えし、SEVENTEENやTXT、ENHYPENなどの活躍が光りました。
2025年はBTSの復帰とグローバル戦略が鍵
HYBEは2025年、BTSの復帰を迎え、ワールドツアーの再開やアルバムリリースを通じて売上回復を図ります。
また、アメリカ・日本・ラテンアメリカでの新グループデビューにより、市場の拡大を加速させる予定です。
「マルチホーム・マルチジャンル」戦略を推進し、K-POPの影響力をさらに強めていくことが期待されます。
成長を続けるHYBEの今後に注目
HYBEは2024年、BTSの不在という厳しい状況の中でも成長を遂げ、新たな収益構造を確立しました。
2025年は、BTSの復帰とグローバル市場拡大によって、さらなる成長が期待されています。
エンターテインメント業界のトップを走り続けるHYBEの動向から、目が離せません。
- HYBEの2024年売上は2兆2545億ウォンで過去最高を記録
- 営業利益は37.5%減少し、純損益は赤字に転落
- コンサート収益が好調で前年比25.6%増加
- BTSのグループ活動休止が業績に影響を与えた
- SEVENTEEN、TXT、ENHYPENが売上を支える存在に
- 2025年はBTSの復帰とグローバル戦略の強化が鍵
- アメリカ、日本、ラテンアメリカで新グループデビューを計画
- 「マルチホーム・マルチジャンル」戦略で市場拡大を狙う
コメント